日々のつれづれ

詩や日々の出来事を心の趣くがままにUPしています。

「風の電話」

「風の電話」


三陸海岸の海を見下ろす丘
誰がそこに電話ボックスを置いたのかは知らない


見かけない黒電話
そして電話線のない電話


誰と話すために置かれたのかは知らない



耳をすますと風の音、波の音
語りかける声が聞こえる


言葉を絶たれた思い
家族への思い
恋人への思い


命の叫び
無念の叫び


すべてが
ここに渦巻いていた



人は
時間と共に多くを忘れる


それでいいのだと思う
それがいいのだと思う


ただ、
魂の慰めが欲しい時
幸せを感じる時


そんな時は
この電話にすべてを語り託せばいい



あの日を忘れないと。。。
心に生きていると。。。
元気に暮らしていると。。。


そして、ありがとうと。


                       なゆた