日々のつれづれ

詩や日々の出来事を心の趣くがままにUPしています。

朽ちるものの美しさ

「朽ちること」


朽ちることに怯えている
跡形もなく無に帰すことに
怯えている


足跡をどこかに残して
生きて来たアリバイを
地に刻みたい


ところが


額に汗して育てた花を
今日は
炉に投げ込む


いつまでも
残していたいはずなのに
すべてを亡き者にしている


朽ちる事への畏敬の念と
新たな希望の芽への憧憬
ふたつを天秤にかけながら



唯一の救い
朽ち果てた花の種が
したたかに芽を吹かせること


回帰の縮図が
ここに生まれること
そして連なる救い


死に死にて生き生きる
朽ち朽ちて命を紡ぐ
慰めは朝露の優しさ


・・・


呑気に
今日も花壇に入る
陽の光が温かい


生きている実感を
赤い血の流れを
この地に刻もう


                         なゆた