日々のつれづれ

詩や日々の出来事を心の趣くがままにUPしています。

『秋雨』

『秋雨』


遠近に
緑なす山々


雲が垂れ込め
予告なく雨が降りだす


帰りを急ぐ足音は
雨音にかき消され


ゆっくりと
ゆっくりと地を潤していく



鉛色(にびいろ)の空は
コンクリートの壁
無言で無表情


雨粒の波紋が
乾ききった
大地に命を育む


秋雨の音なき音に
はかなきは
カゲロウの屍



想い秋雨
山の端が明るんで
月が昇る気配


待ち人が
来たりくる足音


風が連れくる
次の季節の予兆


雨の気配の奥に
視界は煙って
 ゆらりとゆれ


 夏の空気は
すっかり消えて 
清涼な秋をあらわす


                      なゆた