日々のつれづれ

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『脳その不思議』

『脳その不思議』戯れ言


この頭蓋骨に守られた
タンパク質の塊
1000億の脳細胞


体内にある
小宇宙(コスモ)
40憶年の記憶をつづる


ぽっかり開いた穴の
深い井戸の底に潜む
禍々しき原初の本能


生きるにひたむきな心には
善や悪の概念はなく


命を長らえさせる行為
そのものこそ善であり


命を脅かすものは
すべて悪だった


海馬に潜む原初の本能
魑魅魍魎を抑え込むことなど
人には出来やしない


情動を調停し和解するものは扁桃体
獣のこころと人のこころを
還元させて中和する


大脳皮質は、
原初の世界を閉じ込めた
饅頭の薄皮のように取り囲み


前頭葉では、
好ましい規範に適合する
結果のみを出力とする


その故に、
獣のこころは隠ぺいされ
あからさまに外に表されることを妨げる


しかし、
厳然として獣のこころは脳に息づき
まれに大脳皮質の隙をぬって出現する


すなわち、
人は邪悪とするものを
常にその身に忍ばせている


邪悪とは、
人が解釈した正義の反対語


だが、
利己的な脳の一部では
邪悪こそ絶対的な正義なのである


それでは、
正義とは何か?
悪とは何か?


それは、人間が生きるための方便に過ぎない。
語ってはならない隠されたしきたり。
それは、利己的遺伝子に操作された蜃気楼なのかもしれない。


                           なゆた


※※※
 この文章は、何かの脳科学的な裏付けも持って書かれたものではない。
 私の脳が作り出した虚構に他ならないことを承知願いたい。