日々のつれづれ

詩や日々の出来事を心の趣くがままにUPしています。

『不夜城』

未だ、新型コロナの感染が止まない状態です。明日から4連休。。。
不要不急のお出かけは控える様に東京都は厳戒態勢。
一方、国ではGo To Travel キャンペーンは7月22日からはじまった。


このちぐはぐな対応に疑問を抱く国民がいかに多い事だろう。
あべのマスク然り。


出口のない混乱の中、何を選ぶのか。難しい判断が求められます。


今年は、別にして東京は不夜城と言われてひさしい。
特に、歓楽街のある新宿などは昼の人出よりも、終電近くの人の数の方が多いような状態だった。
そんな新宿を舞台にした詩を書いてみた。
古き良き時代のノスタルジーなのか、ご婦人からすると眉をひそめたくなるような
そんな時代だった気がする。


※※※


『不夜城』


大都会東京
天を目指す摩天楼


茹だるような暑さ
ゆらゆらと立ち込める人の群れ


この街の住民は
眠る事を忘れた不夜城にさ迷う


焼け付いたモニュメントだけが
心の安らぎを与えてくれる


スリットが腰まで入った衣装で
人造ミュータントが客引きをする
ここはパワースポット新宿


お兄さん
ここは素敵な場所


「お客様はいい人ばかり」
「どなたもここで人生を楽しんでいる」
「この街では、どんな物も手に入るの」
「愛も買えるのよ」
「都合の許すかぎりお楽しみください」


愛情の深さなど0で量る街
ネオンの光が夜行虫の活動を煽る


「寂しさを紛らわそうとする男」
「寄りかかりたい女」


それらが洪水のように押し寄せる街
互いの利害が一致さえすれば何でも有りの街


虚構と現実の境目がぼんやりと滲む
虚々実々が渦巻く街


ここでは
強い者が全ての正義を決めている


か弱き道徳など道端に投げ捨てられ
道理など何の役にもたたない


ビル風の夜と昼の温度差に
覚醒していく野獣達


涼しげな風に髪が揺れ
圧倒的な本能が牙を剥く


誰も内なる獣を殺せないでいる


この街に長く暮らすと
やり場のない現実をひそかに問いかける


「ここは天国?」
「それとも地獄?」


ここは
自分の意思で
囚われの身となった者ばかり
まさにパラダイス


混沌とした夢が覚める頃
この街が穏やかさを取り戻す


時間は午前4時32分
機械仕掛けのサラリーマンの日々がまた始まる


                   なゆた