日々のつれづれ

詩や日々の出来事を心の趣くがままにUPしています。

『若い頃』夢アルバム⑳

『若い頃』


真っ白な織物にふたりを重ね
縦の糸が僕で横の糸は君
どんな模様に仕上がるのか
誰も知らなかった


君はおませな大人を装って
いつも僕をイライラさせた
「なぜかって」
それは君が一番知ってること


寂しい目をして 
何かを求める仕草に
僕はつい本気になって
君に告白する


すると愛くるしい顔で
悪戯っぽく
「そんなんじゃないわよって」
おちゃめに笑って・・・
そんな言葉に
僕はいつも傷ついていた



季節がめぐり
君に憧れの彼が出来た
同じ学校でスポーツ万能
頭も良く申し分のない男


それをこれ見よがしに
僕の前で言う君
我慢強い僕もついに切れてしまい
「そんなに好きならあいつのところへ行けばいい」


それが最後の言葉だった


あっけない終わりだった
甘酸っぱい思い出だった


ただ、不思議だなと思うこと
どうして
僕の前であの男の事ばかり話したのか
僕を苛立たせることが判っていて
「何故?」
そういう疑問だけが残って
二人の恋は終わりを告げた



今なら言えるのかな・・・



あの時
君が悲しい時 
僕も悲しかった


君が嬉しい時 
僕も一緒にはしゃいだ


言葉に出来ないほど好きだった


ただ漠然とした不安と
自信の無い自分だけが居た


いろんなことを曖昧にしていた
無理にでも、こちらを向かせるべきだった


もう、遠い思い出
まだ心の傷跡として残る思い出


あのゴブラン織りは
今も未完成のまま、こころに突き刺さっている


                      なゆた