日々のつれづれ

詩や日々の出来事を心の趣くがままにUPしています。

『造られし者の嘆き』


忘却の彼方で我等の雛形が造られ
疑うことを知らずかの地で暮せり


平穏に暮らし
豊かさの恩寵が降り注ぐ楽園に住み
すべからくみな平等で
存在の意味など問う者もいない


禁じられた命の果実を食し
羞恥を知る人となり
地を追われ
エデンの東に
拠り所を見いだす


地は実を結ばず
男は額に汗しパンを得
女は苦しみ子を産む


然して
罪の人として罰を受けるを悟る
伝承で語られし我らの咎の故


「人は永遠に楽園を追放されたのだ」



恨みの故に
拳をあげ天に向かって唾する
愚かにも血で血を洗う狂気


無明が世界を覆い
創造された者の中
自らを何者か問うたのは
この罪深き者のみ


呪いのゆえに
智慧が与えられ
子をもうけるすべを知る
遍く人を潤し
その恩寵は
地の隅々にまで及ぶ



もはや造り主を省みることを忘れ
「我らは万物の霊長
     何者も我らを損なうこと無し」 
と驕り高ぶる


原罪の意図する計画とは何か
塵芥に等しい者に何ゆえ試練にさらすのか
何故に芥と黄金をわかつため困難が計画されたのか
黙して答えぬものこそ、その真相
智慧の光も聾して語らず
封印の解ける時まで語られることなし


いつの日か謎が解け
呪いの封印がとかれる時
再び、我らはエデンの住民となれるのであろうか


                                                                       なゆた