日々のつれづれ

詩や日々の出来事を心の趣くがままにUPしています。

『天上に咲く花』

『天上に咲く花』


生まれながらに
地中に命を紡ぐもの


それは約束された
運命なのかも知れない


まだ一度として
降り注ぐ陽の光を
見たことがない


何の因果で
冷たい地中に
命を授かったのか


深い翳りの中に
住まう事を
良しとしない心は
天に向かって手を伸ばし始めるのです


精一杯の
運命に対する反逆




薄暗い土の底から
少しずつ陽の光を受けて
生温かい水が沁みこんでくる


キラキラと泳ぐ光の天使たちに
憧れとも希望ともつかない高揚感が
揺らめいている


もう少しで
願っても叶わなかった
水のおもてに花をさかせる


何の取り得もないまま
ただ黙々と天を目指した夢が
すぐそこにある


大きく深呼吸し
緑の葉を精一杯広げ
命の高まりを吸い込んで
音もなく
薄紅の花を開いていく




その出来事を
見つめていたのは
ただ静けさだけだった



夢は叶うもの
夢は自らの手で掴むもの


そう諭すように
ただ、うらら
花は自慢げに咲き誇っている


                     なゆた