日々のつれづれ

詩や日々の出来事を心の趣くがままにUPしています。

『感傷』

『感傷』


秋の夜風に
波紋をひろげ
迷子のこころは
辿り着く場所を探しています


耳を澄ませば
語り継がれし
千年の想い


朧月夜よ
今宵いにしえ人の言葉にかえて
想いを伝えておくれ


柔らかな風がかすめ
待ち続けるから
さよならは言わないからとつぶやく




『秋風の身に寒ければつれもなき人をぞ頼む暮るる夜ごとに』
                        『古今集』恋二・555・素性法師


※秋風が、冷たい相手を思い出させ、そんな人でも頼みにせざるを得ない自分が哀しい。



『秋風にかきなす琴の声にさへはかなく人の恋しかるらむ』
                        『古今集』恋二・586・壬生忠岑


※一人、秋風に感じて琴をかきならせば、その音にさえ、どうしてはかなく、
 あなたのことが恋しく思えるのだろう。



『我が恋はゆくへも知らずはてもなしあふをかぎりと思ふばかりぞ』
                        『古今集』恋二・611・凡河内躬恒


※私のこの恋は、どうなって行き、どう決着がするかも分らないが、逢うのを最上の
 喜びと思うだけです。
                         なゆた