『太陽の狂気』

焼き尽くす太陽に
すべてが死んだ者の顔になる

アスファルトがねじ曲がり
陽炎はメラメラと牙を研ぐ
狂気さえもリアルに感じる

ここはパラダイス
何もかもが光と熱に還元され

愛も絶望も
モノクロームに封じ込め

逃れられない罠に
噴出す汗だけが福音

命を預かる者ですら
この事に沈黙し
寡黙に警告する

今は身をかがめ
奴らの欲望のままに任せよう

獲物をねらう肉食獣が
過ぎ越す時を待つように

今はひっそりと
灼熱の支配から逃れ
乾いた心を潤す酒でも飲もう

ピンクフロイドのサウンド
おどろおどろしい旋律すらも
いまは至高のメロディー

幻覚が時をねじ曲げ
静かに巧妙に過ぎていく

静寂が戻るまで
しばし手をこまねいて
妄想の詩で喉を潤そう

やさしい夜風が
また当たり前の時に戻る頃まで・・・。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　なゆた